認知症に対する八味地黄丸の有効性

Youjou

昨今よくニュースに出てくる認知症予防、その治療法の中で漢方はどれほど有効なのでしょうか?今回はそのエビデンス(科学的根拠)研究についてまとめてみました。

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ポイント ポイント

  • 認知症に対する治療法としての漢方の有効性は?
  • 認知症を漢方ではどう考える?
  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)とはどんな漢方薬?
認知症に対する治療法としての漢方の有効性は?

認知症に対してはどのような漢方治療が有効なのでしょうか?
八味地黄丸(はちみじおうがん)と呼ばれる代表的な漢方薬の一つに、下記のようなエビデンス(科学的根拠)研究があります。

「1. 目的
認知症に対する八味地黄丸の有効性

2. 研究デザイン
二重盲検ランダム化比較試験 (DB-RCT)

3. セッティング
病院 (長期療養型病床群) 1 施設

4. 参加者
抗コリン剤を使用していない MMSE スコア 0-25 の認知症患者 33 名

5. 介入
Arm 1: ウチダ八味地黄丸丸剤 6.0g/日を分 3 で食後 8 週間内服。16 名
Arm 2: プラセボ群は蜂蜜を混じた黒米末 6.0g/日を分 3 で食後 8 週間内服。17 名

6. 主なアウトカム評価項目
Mini-Mental State Examination (MMSE) 、Barthel Index、内頚動脈血流量による pulsatility
index を開始時、8 週間経過後、投与終了後 8 週後に評価」
【引用:漢方治療エビデンスレポート日本東洋医学会 EBM 委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース

これは、病院において33名の被験者が協力したRCTと呼ばれるランダム化比較試験です。
一方のグループにはウチダ社製の八味地黄丸(はちみじおうがん)の丸剤を服用してもらい、もう一方のグループには食品を服用してもらうことでその効果を比較しています。
この試験では8週間の期間服用してもらい、認知症に関する複数の項目についての評価が行われました。

「7. 主な結果
8 週経過後、Arm 1 は開始時に比べ MMSE は 13.5±8.5 から 16.3±7.7、Barthel Index は61.8±34.6 から78.9±21.1、pulsatility index は 2.5±1.7 から 1.9±0.5 といずれも有意に改善した。しかし、Arm 2 では変化を認めなかった。さらに薬物投与を中止した 8 週後 (開始時より 16 週後) には、Arm 1 の MMSE、Barthel Index は、Arm 2 と同程度となった。

8. 結論
八味地黄丸は認知症患者の認知機能、日常生活動作、内頚動脈の血流を改善する。

9. 漢方的考察
なし

10. 論文中の安全性評価
両群とも試験期間中、副作用は認めなかった。八味地黄丸投与群で投与終了後、1 名が社会的要因により転院し、2 名で尿路感染と上気道感染を発症した。

11. Abstractor のコメント
本論文は、高齢者認知症患者の認知機能と日常生活動作に対する八味地黄丸の効果を二重盲検ランダム化比較試験で評価したエビデンスの質の高い研究である。MMSE の16 週目において八味地黄丸投与群で SD 値が大きいことから、患者間で認知症の程度の差が大きいと考えられる。プラセボ群も 16 週の経過で MMSE、Barthel Index とも悪化を認めておらず、アルツハイマー病患者を含んでいるにもかかわらず悪化程度が緩やかで平均年齢 83- 85 歳という超高齢者を対象としている影響も考えられる。また両群とも認知症の領域における MMSE スコアの八味地黄丸投与による平均 2.8 点の改善が臨床所見につながるものか検討を要する。できれば脳血管障害患者とアルツハイマー病患者を分けた評価が望まれる。さらに八味地黄丸の有効性を明らかにするためにもより多くの症例で、長期間観察した検討が期待される。」
【引用:漢方治療エビデンスレポート日本東洋医学会 EBM 委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース

その結果として、八味地黄丸の認知機能や日常生活における動作、内頚動脈の血流といった指標で有意に改善が見られることが分かりました。
ただ、今回の被験者数は小規模な試験となりましたので、今後さらに長期間、より多くの症例をもとに追加試験が必要ではないかとのことでした。

認知症を漢方ではどう考える?

漢方治療では、認知症は加齢現象の一つとしてとらえられ、多くの場合、下焦の虚証(げしょうのきょしょう)が基本にあると考えます。
また、周辺症状では様々な症状が出現するため、漢方のタイプに合わせた治療がなされます。
例えばちょっとしたことにイライラして家族にあたってしまう症状は、「気逆証(きぎゃくしょう)+熱証(ねつしょう)」ととらえ治療を行います。
日常生活動作を損なうことなく認知症の周辺症状を軽くできる治療として、漢方薬に注目が集まっています。
そのほか、心理・社会的なアプローチ(非薬物療法)が効果を示すこともあります。

八味地黄丸(はちみじおうがん)とはどんな漢方薬?

八味地黄丸はジオウなどの8種類の生薬で構成された代表的な漢方薬の一つです。
「〇〇丸」と呼ばれるように、元々は丸剤で処方されていたのですが、現在は丸剤でもエキス製剤でも手に入る漢方薬です。
下半身の脱力、尿量が多い、尿の回数が多い、尿が出しぶる、腰痛、夏は手足がほてるのに冬は手足が冷える、口が渇くような人に使われます。

投稿者:編集スタッフ

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